第18章 お揃いデート
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「......それで?何の当てつけなの、これ」
二人の目の前の食卓には、“カカシの大好きなナス”が、“カカシの大嫌いな薄くてサクサクの衣”に包まれた、“さきの好物のナスの天ぷら“が大量に並んでいる。
『えっと...ナスが安くなってたんよ! あの...一応お味噌汁にも入れてみたんやけど...』
「味噌汁はいーの好きだから。 何で天ぷらにしちゃったの... ま、食べるけど...」
「ナスが好き」という何個目かのお互いの共通点だが、調理方法はダメらしい。
さきはカカシが天ぷらが苦手なことを知っていて、わざと大量に揚げてみたのだ。
ツッコミを入れられ、そこから会話に繋がるかな...と思って。
だが大好きなナスを大嫌いな天ぷらにされてしまったことが余程ショックだったのか、カカシは黙り込んでしまった。
(一応ボケのつもりやねんけど通用しやんのか......)
さきの作戦は失敗だ。
これはちゃんと自分から会話を作っていくしかなさそうである。
『えええと...えとカカシっ? 明日って、任務あるっけ...?』
「いや...無いけど...」
カカシはどよーんとした空気を醸し出し、マスクを上手く外しながらサクサクと天ぷらを口に運ぶ。
『ぐ、偶然!私も任務がないんよ! ...でねっ、私お出かけしたいなぁ~なんて......』
「いいじゃない。 たまには行っておいで」
(あぁもう、そうじゃなくてっ!!)
『違うっ! カカシと一緒に... その...』
「オレ?」
『う、うん...... デート...せぇへん?』
カカシはゴクンと天ぷらを飲み込んだ。