第14章 THE DAY -2-
(今日は雪が酷いな...)
火影様に任務の報告を終えてから、さきは外の雪の中を一人で歩いていた。
サクサクと足跡を残しながら、この一年をゆっくりと振り返るように一歩ずつ歩いていく。
向かう場所はそう......あの大樹。
今日は十二月十一日。
さきの二十六回目の
『誕生日か......』
そして、大切なものが全て消えていった日。
両親と、夫の命日だ。
降りしきる雪の中、傘もささずに辿り着いた第三演習場にある大樹の前までは、さきだけの足跡が続いている。
まだ日中だというのに、今日の冬空は暗く厚い雲に覆われていた。
人々の生活地から少し奥まったこの第三演習場は、まるで雪の降る音が聞こえてくるのでは...と錯覚するほどに静かだ。
今日はまた一段と冷えている。
さきはその大樹の根元に腰をおろし、膝を抱えて『はぁ...っ』と暖かい息を吐く。
冷たく冷え切った空気に溶け込むように、白いそれは消えて行った。
それはまるで...突然、自分の前から消えて行った大切な彼らのように思えた。