第11章 初任務
「...ふん。豪火球の術をマスターしてから言うことだな」
『...生意気。大人を煽らない』
「煽られるお前に原因があるんじゃないのか?」
『んもーっ!明日中には完成させたるから、みとけよっ』
さきは軽く拳をグーの形にして、その第二関節の硬い部分でサスケの額を軽く小突いてやった。
その一連の動作にサスケは固まって、暫く動かなかったが、ふ と少しだけ口元に笑みを浮かべ、再び池の方へ向きなおった。
「十以上も歳下の俺に教わるのは不本意だろうが...少しならコツを教えてやる。まずは......」
(ふふ。少しだけ心開いてくれたかな。)
さきはニコニコと微笑みつつ、彼の熱心な指導を受けた。
その翌日には、二人揃って大きな豪火球を口から吹き出すことに成功した。
ジュワァァっと池の水が蒸発する音が響く。
辺りは一面、霧のように真っ白に立ち込めてしまった。
どこかに火がついてしまったのではないかと、火事の煙と勘違いしてワタワタと慌てるさきを横目に、ククと笑っていたサスケは、ただの可愛らしい少年だった。