第11章 初任務
__________ 翌日、早朝。
いつもより少しだけ長い任務へ発つカカシを、さきは名残惜しそうに部屋先で見送っていた。
「じゃ、行ってくるから」
『うん...行ってらっしゃい......気をつけてね』
「ふ。なーによその顔?」
『...別に?普通の顔やもん』
彼女は決して寂しいとは言わないが、太く大きく『寂しいです!』と書かれたようなしゅんとした顔をしている。
「何かあれば里の人を頼ればだいじょーぶ。 オレも出来るだけ早く帰ってくるよ。」
『ほんまに?』
「当たり前でしょ」
まるで小さい子供をあやしてるみたいだな...と少々の苦笑いを殺しながら、ポンポンとピンクブラウンの頭を撫でてやる。
或いは気分屋の猫のよう。
思わず嬉しそうな表情を見せたさきは自分でもそれに気づいたのか、慌てて頭の上のカカシの手を掴んだ。
『...遅れるよ?はやく行った方がいいんやない?』
「あぁもうそんな時間か......ま、サクッと行ってくるから。 じゃーね」
ニコリと笑って頭から手を離し、部屋を出る。
さきはカカシの手を掴んでいた行き場のない自分の手を軽く握り、宿の廊下に出て、カカシの姿が見えなくなるまでじっとその背を眺めていた。
カカシがあんの門に向かうと、そこには既に集合していた忍たちの姿があった。
自分の到着と共に全員の集合が確認出来たため、この任務の隊長であるカカシは指揮を執った。
「さーてと...じゃ、今日から “一週間” 宜しくね」
カカシはさきに嘘をついていた。