第10章 彩火師
結局その夜は、酔いが回ったさきになんとか化粧を落として着替えてもらい、二人はいつものごとく同じ布団で適度な距離を開けて横になった。
規則的な呼吸を繰り返し、相変わらず無防備に口元を緩めて眠るさきの手が、自分の服を掴んで離さなかったことにカカシは満足感と優越感を覚えていた。
そして、僅かな酔いが心地よい眠気を誘い、いつの間にかカカシもすっかり眠り込んでしまった。
翌日、さきとカカシはしっかりとした足取りで演習場へと向かっていた。
今日はさきに、さきだけの技を会得してもらうための修行をカカシがつける。
昨日の試験でもさきは影分身をしっかりと使いこなせていたし、何より中忍の動きも読み切ってしまうほど彼女の戦闘スキルは伸びていた。
もっと高難易度の術を教えてもいい段階まで成長していることは明らかであったし、その力は今後の任務の為にもなる...カカシはそう考えていた。
演習場に到着するなり、いつものように簡単にさきからの挨拶を済ませると、カカシは1枚の紙を差し出した。
『これは?』
「これはチャクラの性質を調べるチャクラ紙だ。 こいつにチャクラを流し込むと、それに反応して自分のチャクラ性質を教えてくれる。」
『チャクラにも性質ってあるんや?』
「そう。 例えばオレの雷遁、土遁、水遁。 これに火遁と風遁を加えて五大性質変化という。
五大性質変化には優劣関係があって、攻撃側の術と防御側の術の性質の違いによっては、術の本来の効果を発揮できずに一方的に大ダメージを受ける場合がある。』