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《鬼滅の刃:R18短編集》アイノカタチ

第1章 嫌われてない理由【冨岡義勇】



 蝶屋敷から走り去って5時間,我に帰らず後先も考えず見知らぬ人里に来てしまった。知らない風景だ。・・息が苦しい。義勇さんにあんなこと言って,嫌われたよね?私。もう嫌だ。最悪だ。

「あらっ,慧音ちゃん?どうしたの?」

『蜜璃さん・・!うわぁぁ!!蜜璃さん!私・・。私・・』

私は,蜜璃さんに全てを話した。すると蜜璃さんは,

「冨岡さんは,慧音ちゃんが好きで緊張して話せないんじゃない?」 

『だったら,いい話ですけどね・・。』

「慧音ちゃん!桜餅あげるから,元気出して!」

『いいんですか?』

「いいのよ!ごめんなさい,私も忙しいから!バイバイ!」 

蜜璃さんも,引いたよね。こんなぐしゃぐしゃの顔になって,走って。叫びながら走って。蜜璃さんだって,柱だ。警備する担当地区が多い。急がしいのに迷惑かけた。ごめんなさい・・。

『家に帰ろう・・』

私は独り言を言って,また歩いた。私は,もう継子じゃないから義勇さんに会わなくてもいい。もう会わなくてー。

『義勇さん・・。』

義勇さんに会いたい。


「慧音!!どこだ!慧音ー!!」

 一方,冨岡は必死に慧音を探していた。寝る間も惜しず,探していた。

「胡蝶!!そっちはいるか!?」

「こっちには,気配がありません・・。冨岡さん。後は,隠に任せませんか?私達柱は,明日も明後日も毎日のように任務があります。」

「駄目だ・・。俺が,今ここで見つけ出す!」

「冨岡さん・・。」

「頼む!胡蝶も手伝ってくれ!お願いだ!」

冨岡は,土下座してしのぶに頼む。

「(こんな彼を,初めてみた。こんな必死になって・・。それこそ,慧音さんのことがよっぽど大切なのですね。)
 冨岡さん,顔をあげて下さい。私も,お手伝いしましょう。」

「ありがとう・・。胡蝶。」

そして今,月明かりに照らされて2人の影が,蝶のように飛び立った。

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