第10章 マッドサイエンティスト 薄桜鬼 藤堂平助 シリアス
こんな私は狂っているのだろうか。
10.マッドサイエンティスト
「!何してんの?」
開いた襖からひょっこり顔を出したのは
八番組組長 藤堂 平助。
「今日も研究ですよー。」
新選組の中でも私の存在を知る数少ない人物だ。
「話、あるんだけど。」
平助は部屋に置かれた座布団に座り
口を尖らせて呟いた。
珍しいこともあるものだと
私は彼の方に体を向ける。
「話?」
「よく眠れる薬、いっぱいくれない?」
私が彼に渡すよく眠れる薬とは小さな飴だ。
「いいけど、どうしたの?
一度にたくさん食べるのは体に良くないよ?」
話の意図が読めないものの、
大きめの袋に飴を入れる準備をする。
視線をあっちこっちに移動させていた平助が
ポツリと呟いた。
「、、俺、此処出てくんだ。」
最近の彼は様子がおかしかったから
いつか こんな日が
来るんじゃないかと思っていた。
「そ、なんだ。いつから?」
努めて冷静に返事を返す。
「今日、もうすぐしたら。」
「今日?!」
持っていた袋を思わず落としそうになった。
そういう大事なことはもっと早く言えと
習わなかったのだろうか。
彼の頬に手を添えてコツンと額を合わせる。
「気をつけてね。」
額を離すと顔を真っ赤にした平助と目があった。
「ちょ、!?」
「ほらほら、もう行くんでしょ!」
立ち上がるように急かし、
何か言いたそうな平助を襖の外に追いやる。
「わぁーったよ。んじゃあな。」
平助は、ポンポンと私の頭を撫でて
廊下を一歩踏み出した。
もう この姿を当分見れなくなるんだ。
そう思うと
少し、ほんの少し、寂しくなる。
「平助!」
「んぁ?なに?」
少し不服そうな返事をしながら
振り返った彼に飴が入った袋を渡し、
「忘れ物。これ取りに来たんでしょ。
それと、、、」
彼の手をギュッと握った。
「ご武運をお祈り申し上げます、藤堂組長。」
「ありがとな。も元気で。」
平助は私の大好きな笑顔で笑った。
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「くん、
早急に変若水を1つ準備してください。」
突然、襖を開けた山南さんが
部屋に入るなりそう言った。
嫌な予感がした。
それと同時に胸が高なる。