第4章 指南
(あの娘は、俺が手放してきたものをすべて持っているように見える。無防備に傷つき、真摯に怒り、手放しで喜ぶ。……そして、そこには儚さもある。見ていて飽きない)
茜との師弟ごっこは気に入っているものの、長くは続けられないだろう。
茜を構う暇があるうちに、身を守る術を叩き込んでおかなければ…
戦の一件で恐らく、信長は茜を気に入っただろう。
再び戦場へ連れ出されることもあるかもしれない。
その時は前の戦のように、自分がそばにいて守ってやれるとは限らない。
修羅場に巻き込まれたら最後、茜は自分で自分を守るしかないのだ。