第4章 指南
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「光秀、どういう風の吹き回しだ。茜の指南役をお前が買ってでるとは思わなかった」
「何、深い理由はない」
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休憩中の部屋を抜け出した時、追ってきた政宗に言われた言葉。
(深い理由はないが……。)
無性に、そばに置いてみたくなったのだ。
(……気に入った。強いて理由を挙げるなら、そんなところか)
光秀の日常は、嘘、欺瞞、裏切り、駆け引きで形作られている。
必要とあればためらわず手を汚す。後悔や反省は、冥土でまとめて済ませるつもりだ。
自分の選んだ生き方に、不満も迷いもない。
ただ–––ずいぶん遠くまで来てしまった、そんな感慨だけがある。