第4章 指南
(光秀さんって、やっぱり不思議。冷たいような、どこか冷めたようにも感じるのに、少し近づくと、優しい暖かさを感じる……)
「光秀様! ここにいらっしゃいましたか」
(……?)
「どうした、九兵衛」
慌てた様子でやってきた光秀さんの家臣が、膝をついて頭を下げる。
「信長様がお呼びです。至急、天主へ来るようにと」
「わかった。–––茜、馬は自分で厩へ帰しておけ」
「えっ、まさか……光秀さん無しでと城まで戻れってことですか? それは無理だと思います。 用事が終わるまでここで待ってますから、戻ってきてください。」
「健気なことを言う弟子だな。だが、信長様のご用がいつ終わるかわからない以上、お前を待たせるつもりはない。九兵衛、茜がきちんと馬を連れ帰れたか見届けろ」
「はっ」