第4章 指南
「その恐怖を忘れないことだ。撃ち抜く喜びに身を任せれば、銃に殺される」
「じゃあ…、光秀さんは……こんな恐ろしい思いを、いつも……?」
「…………。お前は、思いがけないことばかり言う」
問いかけに答えず、光秀さんは微笑んで私の姿勢を正させた。
「さあ、もう一度だ」
「……っ、これ以上は、もう……」
「もう一度だ」
「……はい」
よく響く低い声には、有無を言わさぬ迫力があった。
(……怖いけど、やるしかない。きっと、実際に私が使うことはないだろう。……それにこれ以上、恐ろしい指南もないはず…っ…)
けれど、私の心からの願いは、あっさりと打ち砕かれた。
「光秀さん、さすがにこれは無理です! 絶対無理!」
「大丈夫だ、最初は皆そう言う」
光秀さんは涼しげに言い放ち、私を一頭の馬の前に押しやった。
(いきなり『ひとりで乗ってみろ』だなんて……。本格的に戦場で使える技術を教え込む気だ、この人)
火縄銃の扱いも相当難しかったけれど、今度は生き物が相手–––自分の思い通りに動かせるわけじゃない。