第4章 指南
「撃て、茜」
ドンッ!
「…………っ」
重い手応えが骨に響き……すぐに静寂がやってきた。
銃を取り落とす寸前で、どうにか踏みとどまる。
(こ……怖かった……)
「お見事だったぞ、茜。この距離で、的をかけた木の幹にさえ掠りもしないとは、なかなか真似できることじゃない」
いつものからかい文句も、今は耳を素通りする。
「当てるのが、怖いと思いました……」
「ん……?」
「的に当たって……嬉しいと感じてしまうことが」
それは、まるでお祭りの出店の射的の的を狙うような
そんな、遊びにも似た感覚でーー
「…………」
銃の振動が伝わった瞬間、自分の血が、沸き立ったのがわかった。
(怖いのに……どこか、興奮してた。的当してるみたいな…。だけど、これは玩具なんかじゃない…、非力な私ですら、これを使えば力を手に入れられる。戦場で人の命を奪ってしまえるほどの力を……)
殺すも殺されるも、自分と同じ人間–––その事実をまざまざと突きつけられた気がした。