• テキストサイズ

貴方は月のように 〜イケメン戦国 明智光秀〜

第4章 指南




「撃て、茜」

ドンッ!

「…………っ」

重い手応えが骨に響き……すぐに静寂がやってきた。

銃を取り落とす寸前で、どうにか踏みとどまる。

(こ……怖かった……)

「お見事だったぞ、茜。この距離で、的をかけた木の幹にさえ掠りもしないとは、なかなか真似できることじゃない」

いつものからかい文句も、今は耳を素通りする。

「当てるのが、怖いと思いました……」

「ん……?」

「的に当たって……嬉しいと感じてしまうことが」

それは、まるでお祭りの出店の射的の的を狙うような
そんな、遊びにも似た感覚でーー

「…………」

銃の振動が伝わった瞬間、自分の血が、沸き立ったのがわかった。

(怖いのに……どこか、興奮してた。的当してるみたいな…。だけど、これは玩具なんかじゃない…、非力な私ですら、これを使えば力を手に入れられる。戦場で人の命を奪ってしまえるほどの力を……)

殺すも殺されるも、自分と同じ人間–––その事実をまざまざと突きつけられた気がした。

/ 573ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp