第4章 指南
「舞は、頭使ってなくても関係ないだろ?」
「やっ!政宗ったら、ひどい!!」
「わっ、家康のお漬物、美味しいけど相当辛いね……!」
「これでもかなり辛さ控えめにしたんだけど」
「茜様の味覚に合わせて加減なさったんですね。そのお優しさ、見習いたいものです」
「だから、違うから」
(戦は怖いけど、こうやって皆と過ごす時間は好きだな)
「お茶も香り高くて気持ちが安らぐね」
お茶を一口含めば、飲み慣れていない私でも、いいお茶なんだろうと分かるほど美味しい。
「それは何よりです。秀吉様がご用意してくださったんですよ」
(秀吉さんが……。そうだったんだ)
「茜様によろしくと仰っていました」
「あの世話焼きが顔を出さないとはな」
「まあ、そうなるでしょう。光秀さんが指南役なんですから」
(どういう意味だろう……?)
政宗さんと家康の言葉に、とっさに光秀さんを目で探すけれど、腹の底の読めない笑みは部屋のどこにも見当たらない。