第4章 指南
「ありがとう、政宗さん。舞ちゃんも。 みんなでいただこう」
お茶会の支度が整う頃、またひとりお客さんが姿を見せた。
「勉強してるって聞いたけど間違いみたいだね。こんなところで集まって油売って、全員暇人なの」
(家康まで! 光秀さんが私の指南役になった話、みんなに広まってるんだ)
「家康様も茜様に差し入れですか? ぜひご一緒いたしましょう」
「は? どうして俺がこの子に差し入れなんてしなきゃならないの。変なこと言うなよ、三成」
「じゃあ手に持ってるそれはなんだ? 見せろ、家康」
「ちょ、政宗さん……っ」
(壺? わっ、辛そうなお漬物……! 唐辛子がこれでもかってくらい入ってる)
「なーんだ、やっぱり家康様も差し入れにきたんじゃん。お茶請けによさそうだね」
「……作りすぎて余ったから、茜にでも渡して処分しようと思っただけ」
壺の中を覗き込んだ蘭丸くんが、含み笑いで家康の顔を横目で見る。
「本当、素直じゃないなぁ。家康は」
舞ちゃんも蘭丸くんと一緒になって、家康を揶揄う。