第4章 指南
(見張らなくても逃げたりしないって何度言っても、信用してもらえなかった……。)
問題は科目があまりにも物騒な点、そして、先生が光秀さんという点だ。
(人の考えを探るくせに、自分の考えをちっとも相手に読ませない。急に優しくなったり、それに……)
彼がためらいもなく敵将を倒したあの数秒を、私は生涯忘れられないだろう。
『人殺しに礼などするな』と言った時、光秀さんはとても厳しい目をしていた。
(この人の読めないお腹の底には、途方もない何かが隠されてる気がする……)
「考えごとは済んだか、茜? 気の抜けた表情を改めて、席につけ」
「っ……はい」
「では、各国の情勢を学ぶことから取り掛かろう」
文机の前に座ると、一枚の紙を差し出された。
「まずはお前の知識の程度をはかる。簡単な問題を用意してきた。これを解いてみろ。当たり前のことばかりで手ごたえがないだろうが、辛抱しろ」
「が、頑張ります」
(実質、歴史のテストだ……。私の貧弱な日本史の知識で太刀打ちできるかな)
…………