第4章 指南
(はぁ、気が重いし……何より、恥ずかしい。)
今朝、目が覚めたときには、もちろん光秀さんの姿はなかった。
昨日のことを思い出すと気が重いうえに、戦の疲れも残ってるのか頭も身体も重い
(泣いてたのバレたかな…)
浮かない心のまま、身支度の仕上げに髪を結び終ると、同時に、襖がスパンと開かれた。
「おはよう、茜。支度はできているようだな」
「っ……はい、おはようございます」
油断ならない微笑を目にした瞬間、さっきまで浸っていた感傷は掻き消されて、背筋がピンと伸びる。
「そう身構えるな。指南役の俺まで緊張してくるだろう?」
「バレバレの嘘をつくのはやめてください、光秀さん……」
(全然、変わらない。いつもの光秀さんだ)
いつもの様子と変わらない様子に、気まずくならずに済んだことにほっとした。
私の思いとは裏腹に今日から、光秀さんによる戦国時代の生き抜き方指南が始まる。
私を監視する名目として。