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貴方は月のように 〜イケメン戦国 明智光秀〜
第16章 水色桔梗の言葉を
「椀を」
「ここに」
空の椀を差し出しながら、光秀は柵に口を寄せた。
牢番は黙ったまま耳を近づけ、声をひそめ囁かれた言葉に素早く頷き、立ち去った。
「……頼むぞ、九兵衛」
牢番に化けた家臣の姿を見送ると、光秀は再び、座して沈黙を続けた。
音もなく時が過ぎ–––
やがて、近づいてくる足音が静けさを破った。
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