第3章 龍虎退治
そこには沢山の秀人の写真。
スクロールすると夢で見た同じ笑顔が並ぶ。
(秀人……。…抱きしめてよ……)
夢の中で、秀人の腕に飛び込んだ
けれど…、抱きしめた感覚も抱きしめられた感覚もなくて…
当たり前のことだけど、それが秀人がもうここにはいない事実を突き付けられたようで、悲しかった。
じわりと目頭に熱いものがこみ上げ、私の頰伝って流れ落ちる。
親に捨てられ施設で育った私。
園長は愛情深い人で本当の母親のような人だった。
その施設で出会ったのが秀人だった。
同じ境遇で同じ年齢。
同じ時間を一緒に過ごし、ごく自然に当たり前のようにいつしか恋人関係になった私たち。
一緒に施設を出てからは
『一生をこの人と共にする』
幸せな日々がずっと続くと信じて疑わなかった。
秀人に病気が見つかるまでは……
ーーーー「茜、寝たか?」
「?!」
突然、障子の向こうから自室に戻ったはずの光秀さんに声を掛けられ、肩がびくっと跳ね上がる。
(み、光秀さん……な、なんで戻って……)
「開けるぞ。」
「…ま、…待って……くだ……」
私の返事などお構いなしなのか、障子が開けられる。
スマホを咄嗟に布団の中に押し込み
寝間着の袖で涙う拭うと、振り返って平静を装った。