第14章 化け狐と今宵かぎりの想い
「茜さん!」
「よー」
(佐助くん、幸村……!)
人混みをかき分け、ふたりに駆け寄る。
「見覚えのある側頭部が見えたから、もしかしたらと思って」
「側頭部だけでよくわかったね……! また会えて嬉しいよ、ふたりとも」
「ったく、敵同士だってのに能天気なヤツだな。お前といると調子狂う」
「ふたりのことは友だちだと思ってるから。それで……義元さんには会えた?」
幸村は表情を曇らせ、首を横に振った。
「俺らの動きに勘付いたらしい。屋敷の忍び込んだけど、あいつはもういなかった」
(そんな……)