• テキストサイズ

貴方は月のように 〜イケメン戦国 明智光秀〜

第3章 龍虎退治



…………


気を失った茜を光秀が抱きとめた数刻の後。

敵陣の後方では、戦場がまったく似合わない男がため息をついていた。

「ようやく決着か……。みんな、謙信の隊から伝令だよ。戦は引き分け。退却だ」


(今川家の家臣)「なんと口惜しい! 我らが前線に出ていればこんなことには……! 今頃は今川家を滅ぼした憎き信長を討ち取っていたに違いない! 世に聞こえた龍と虎も、弱腰になったものだ!」

気炎を上げる家臣たちを見回し、義元のため息がいっそう深くなる。


「これでいいんだよ。今回の戦は、言ってみれば小手調べ。謙信たちから信長への、果たし状みたいなものだから」

「はっ、知ったようなことをおっしゃる、我らが当主は。軍議に列席しようともなさらないのに。謙信殿に願い出て先陣を切る気概くらい見せてほしいものですな」

義元の言葉に今川の家臣たちが唇を噛みしめるように、自らの当主に不満をぶつける。

/ 573ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp