第13章 大切な人
義元さんに抱きしめられた感触が、じんわりと思い出されて、頰が赤くなった。
あのとき見た、義元さんの悲しげな顔が、この人もまた、何かを大きなものを背負っているのだと、そう思わずにいられなかった。
(昨日、起きたことは義元さんのせいじゃないのに……)
「はい。義元さん、心配してわざわざ会いに来てくれたんですね。ありがとうございます、元気が出ました」
身内のしたことに責任を感じている義元さんが少しでも安心できるよう、私は笑って答えた。
「…………。君は強いね。生きる活力に満ち溢れてる。こうして話していると、眩しいくらいだ」