第13章 大切な人
「どうか気をつけて! 義元さんに会えるといいね……!」
「ああ。しばらくはこの国にいるだろうから、会えたらまた会おう。それじゃ、ひとまずドロン」
幸村の後を追い、佐助くんも姿を消す。
思わぬ場所でふたりに会えたことが、嬉しかったものの……
(なんだろう。胸がざわざわする……)
道端の石ころを見るような『義昭様』の眼差しがよみがえり、冷や汗が額に滲む。
風呂敷包みを、胸にぎゅっと抱きしめた時–––
「もしもし、そこのお嬢さん。少しいいかな?」
「え? きゃ!?」
口元を手で押さえられ、市の外れの林へと引っ張り込まれた。