第13章 大切な人
(光秀さんは昨日、舞台に立つ将軍をじっと見てた。そして、私からあの人の名前が『義昭』だと聞いて、謀反の企みがあるって確信したんだ!)
「義元さんは、どうしてそんな人と……」
「直接会って確かめる。茜、大名の屋敷はどこだ」
「ええっと、あっちの角を曲がって……」
「ありがとな」
場所を説明し終えると、幸村はニッと笑って駆け出した。
(今から行くの!?)
「突然押しかけて大丈夫!?」
「心配ない。幸村は思い立ったらすぐ行動の直球男児だけど、無鉄砲ではない。屋敷の構造を調べて、侵入経路を探るつもりだろう。俺も、行かないと」