第13章 大切な人
駆け寄って、お互いにまじまじと見つめ合う。
(間違いなく、どっちも本人だ……!)
「俺たちと君は、市で出会う運命なのかもしれないな」
「冗談抜かしてる場合かよ」
幸村は厳しい顔をして、私に歩み寄ろうとする佐助くんの襟を後ろから引っ張って止めた。
「いくら相手がイノシシ女の友達とはいえ、仮にも敵方の人間に姿を見られてんだぞ。茜。お前、佐助から聞いてんだろ。俺たちが何者か」
「うん。でも、私自身はふたりの敵じゃないよ。そもそも、私がふたりを敵だと思ってたら、荷物を放り出して逃げだすでしょ」