第13章 大切な人
「信長様に、朝廷からの呼び出しが……?」
「俺たちが調査している謀反の疑いの件で、京の公家たちに虚偽の報告をした者がいるようだ」
実際は小国の大名が怪しい動きをしている程度であり、その事実関係を調査しているところなのに、『大名が数十万の兵を集めて挙兵寸前、間違いない事実だ』と、何者かが公家たちに吹き込んだらしい。
(一体何のために……?)
朝廷から事の次第を報告するよう遣いが来たと、文には書かれていた。
「急ぎ安土へ戻り、信長様共々京へのぼり公家たちに謀反の実態をご報告せねば。この国の謀反の芽を摘み取ってからな」
「でも……あの大名が本当に謀反を企んでるか調べるのは、これからでしょう?」
私にとっては許せない相手だけれど、それとこれとは話が別だ。