第12章 その感情は
平和な現代で生まれ暮らし辛い別れも経験してきた、乱世での激しい日々を駆け抜けながら、懸命に育ててきた私なりの義を、他の誰でもない私が、放り出すわけにはいかない。
「善悪の見分けのつかない中で、義と義がぶつかり合うのが、この乱世だ。–––だからといって、何人たりとも、お前の尊厳を冒すことは許されない」
低い潤った言葉が、身体じゅうに沁みていく。
「っ……もう、泣きません。あの人たちの言葉に、二度と負けません」
(きっとこの先、光秀さんの言葉が私を支えてくれるから)
自分を信じたいと思った。信じられる自分でありたいと思った。