第3章 龍虎退治
「天下人になる男の女が、今さら何を臆すことがある? この戦は天下統一への大きな一歩になるはずだ。貴様も共にその行く末を見届けるのだ」
(もう、言ってることがめちゃくちゃなんだけど……)
「平気だよ、舞様! 織田軍の皆はハチャメチャに強いからねっ」
「強い……。そっか、それはそうだよね……」
「ま、待って、舞ちゃん!」
蘭丸くんの言葉になぜか納得しはじめた舞ちゃんを慌てて制する。
(いくら、信長様の命令であっても、やっぱり舞ちゃんをそんな危険な場所に行かせるなんてできない)
「恐れながら、信長様…、その戦の同行する役目、私にやらせては貰えませんか?」
「茜ちゃん?!」
突然の私の申し出に、広間に居た全員が黙る。
「ほう…。舞の代わりに、茜、貴様が俺に同行すると?」
「はい。験担ぎとの事でしたら、信長様を助けた私でもその役目果たせるのではないでしょうか?」
信長様の冷たい瞳が私の意図を探るように見据える。
背筋に冷や汗が流れ落ちるのが分かる、目を逸らしたくなるほど怖いけれど、それでも私は信長様の瞳を見つめ続けた。