第3章 龍虎退治
「先陣は俺が。他の誰にも譲る気はない」
「抜け駆けしないでくれますか。武者震いしてるのは政宗さんだけじゃないんです」
「勝星がほしいなら俺から力ずくで奪ってみろ、家康」
「……戦となると見境がないですよね、あんたって人は。まあ、負ける気はないですけど」
「味方同士で争うんじゃない、ふたりとも。ただし、その意気は買っておく。信長様、ご命令を」
どちらが前衛を行くかで揉める家康と政宗さんを秀吉さんが一喝して、黙らせた。
「今夜、安土を発つ。支度を怠るな」
政宗・家康「はっ」
そんな二人に悠々と命令を下す、信長様は冷血なオーラを纏っていて…
私はそのオーラに圧倒された。
「舞、験担ぎに貴様も連れて行く。せいぜい俺の役に立て」
(えっ!!舞ちゃんを?!)
「私も戦場に!? 無理です、信長様! 験担ぎなんて効能、私にはないです……!」
突然信長様の命令に顔面蒼白でオロオロしだす舞ちゃん。
(いくら自分のお気に入りの女だからって、大切な人を危険な目に合わせるなんて…?!さすが…うつけ者…)