第10章 偽りの夫婦
あの時の武士が言った言葉
光秀さんは元々、身分なんて無関係に自分の力でのし上がった人だ。どこにいても相手が誰でも、この人は変わらない。
(ほんと……、この人のこういうところ……)
誰となく、光秀さんは平等だ。
秀吉さんも老若男女問わず、人たらしだけど、光秀さんはまた違う意味で人を惹きつける
だから……、意地悪でも裏切り者でも嫌いになれない。
悔しいことに、こうして一座の輪にふたりで加わっていることも、不思議と居心地がよかった。
偽装夫婦を演じていることを、忘れそうになるくらいに。