第10章 偽りの夫婦
「おや、その足はどうなさった?」
「戦に巻き込まれてなあ……。使い物にならなくなっちまった」
「そうか……。手伝えることがあれば、何でも声をかけてくれ」
楽士の一人が足を引きずっていることに気づいた光秀さんが
何か思うように、その楽士に労りの声をかけた。
「いーい男だねえ。男連中はウカウカしてらんないよ」
「そういうあなたもいい女だな。この一座は美男美女ぞろいらしい」
「へーえ、それじゃ、わしもかい?」
「それはもう、座長が美男の筆頭でしょう?」
「ははは! うまいねえ、光さんは!」
あっという間に馴染んだ光秀さんを横目で盗み見する。