第10章 偽りの夫婦
座長さんが声を上げて笑い出し、光秀さんも調子を合わせ、私の頭に頬を寄せて微笑む。
「いやはや、照れるな、茜」
「あ、あはは……、そうですね……」
距離の近さに気が気じゃないのをひた隠し、私もどうにか笑い声をひねり出した。
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「俺とお前はこれから、旅芸人の夫婦になる。それが一番自然だからな。あらためてよろしく頼むぞ、茜。お前の夫としてな」
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(指南役と弟子から恋人同士に、さらには許嫁に、果ては夫婦に……)
ずぶずぶと光秀さんの策略にはまり込んでいる気がしてならない……
だけど……、それも嫌じゃないとどこかで思ってしまう