第2章 Kiss her hand
「義元さん、探しましたよ」
「安土にまで来て女をたらしこんでんじゃねえよ、義元」
(あれっ?)
「茜さん……?」
「佐助くん!? それに、あの時の……」
「イノシシ女と一緒にいた女じゃねえか」
「っ、イノシシ女って…、舞ちゃんのこと?」
「幸村、舞さんはイノシシ女じゃない。茜さん、前は紹介できなかったけど、幸村と義元さんは俺の同僚なんだ」
(じゃ、じゃあ、この人たちも忍者!? そうは見えないけど……)
「で、茜。お前は佐助と舞の何なんだよ?」
「ええっと……。出身が一緒で仲良くなったって言うか…。それに、今は色々あって私も安土城で暮らしてて……」
(幸村・義元)「安土城で……?」
(あれ? 急に空気が凍ったような……)
「茜さん、少し話せる? 幸村、俺はあとで合流するから先に行っててほしい」
「訳ありみてえだな。お前の友だちなら、舞といい悪いヤツってわけでもねーだろうけど。……行くぞ、義元」
「うん、反物を見たらね」
「『見たらね』じゃねー! とっとと来い」