第9章 偽りの許嫁
「茜、考え直したらすぐ俺に言えよ。こいつがつきまとうようなら、俺が退治してやるからな」
「あ、ありがとう、秀吉さん」
「少しは俺に気を遣え、茜。まあ我々のことはさておき。もうひとつご用件があるのでは?」
(…… そういえば、九兵衛さんがそんなことを言ってたっけ)
全員がその場に座り直すと、信長様は脇息にもたれて口を開いた。
「光秀。貴様に急ぎ調べてほしい件がある」
「何なりと、我が主」
「西方の小国で、謀反の兆しがあるとの報が入った。和睦を結んだばかりの毛利の領土と、ほど近い場所だ」