第9章 偽りの許嫁
問題が起きているのは織田軍直下の領土の端、中国地方に隣接する小さな国らしい。
よそとの往来が少ないのどかな土地だったはずが、急に人の出入りが激しくなったのだという。
知能も財力も兵力もない大名だが、高貴な血筋を引いているらしく、何者かが、身分の高い大名を祭り上げ、利用しようと企ててるというのだ
「この件、妙にきな臭い。光秀、貴様自身の目であらためて、俺に報告しろ」
「承知いたしました。内情を探って参りましょう。越後との戦も膠着状態ですし、たまには遠出も悪くない。」
そう言うと、光秀さんが私に視線を向ける
「茜、長旅になるぞ。支度をしっかりしないとな」
「えっ…?!私も…?」
「当然だろう。俺は片時もお前を離したくはないんだ」
突然、私の腰を引き寄せると耳元で囁く光秀さん。