第9章 偽りの許嫁
(それで政宗さんにあんな嘘を……?)
人の心をもてあそびながら、この人はいたって冷静に策略を巡らせていたのだ。
裏切りを知る私を手元に置いて、コントロールできるように。
弄ばれるように振り回させる自分の感情が悔しくて堪らない。
(私ばっかり、動揺して……)
「っ……光秀さんなんて、嫌いです」
「それは残念。俺はお前が、愛おしいがな」
(え……っ)
光秀さんは頬杖をついて、私を見つめ笑っている。
今までで一番、タチの悪い嘘だ。
この人がホストだったら、間違いなくNo. 1になるだろう。