第2章 Kiss her hand
(……鬼……? )
「冗談を言っている顔に見えるか?」
(光秀さんでも冗談なんて言うんだ)
いつも飄々としていて、どこかつかめない人だと思っていたから、子供じみた冗談を言う光秀さんが意外だった。
「信じて……は、いない顔だな。舞ならば、顔を青くして喚き散らしているぞ。」
にやりと笑って頬に触れられ、はっと息を呑む。
「お前のような女は…、取って食いたくなるな」
「……だったら…、取って食らってもらって結構ですよ。」
光秀さんの懐疑の瞳に見つめられ、心を見透かされたような気がして思わず私は顔を逸らした。
「食らっていいか…。」
私から手を離して呟くと、光秀さんは涼しい顔で微笑んだ。