第7章 虚心坦懐
(もしかして……光秀さんの本当の目的は、乱世を生き延びる術を、私に教え込むことだったんじゃ……)
前を走る光秀さんの背中を眺めながら、そんな考えが一瞬、脳裏をよぎった。
しかし、それは、なんの根拠もない、ただの私の妄想に過ぎない。
それでも、伝えずにはいられなかった。
「あの、光秀さん!」
「どうした?」
馬を急がせ、隣に並ぶ。
火照る頬を風で冷やしながら、声を張った。
「光秀さんのお陰で、馬に乗れるようになりました。他にもたくさん、出来ることが増えました。意地悪なところは改めてほしいですけど……こうやって、前を向けるようになったこと、とても感謝しています」