第6章 疑心暗鬼
「光秀さんって、実は敵が多かったりする……?」
「というより、あいつは嬉々として敵を作って回ってるところがある」
「なんでそんなこと……?」
「俺が知るか」
そう言いつつも、政宗さんはどこか楽しそうだ。
(光秀さんの滅茶苦茶なところを、この人は気に入ってるんだ。)
「まあ、光秀が残酷な男だからって、お前の目から見たあいつが幻ってことにはならない。あいつはわかりにくくてややこしいが、その分、面白い男だと俺は思ってる。お前はお前で、あいつがどういう男か見定めることだな」
(私の見る目で……)
慰められたわけでも励まされたわけでもないけれど、嘘のない厳しい言葉が勇気をくれた。