第6章 疑心暗鬼
「光秀を優しい男だと勘違いしてる奴は、日ノ本中探してもお前くらいだ」
「そんなこと……」
と言いかけて、記憶の引き出しをひっくり返したけれど、反論材料は出てこない。
指南は厳しいけれど、思い出されるのは私を助けてくれる光秀さんばかりだ。
「……あるかも」
「だろ」
武将のみんなは光秀さんの実力を認めてるけど、秀吉さんをみれば、人間関係は円滑とは言い難そうだ。
あの絡んできた武士たちも含め、光秀さんに反感を持ってる織田軍の家臣も少なくないだろう
(町の女の子たちも、魅力的だとは言ってたけど、優しいとはひと言も言わなかった……)