第6章 疑心暗鬼
(私の見る目で……)
慰められたわけでも励まされたわけでもないけれど、嘘のない厳しい言葉が勇気をくれた。
「そう……ですね。色々話してくれてありがとう」
政宗さんとわかれたあとも、頭の中に光秀さんが居座り続け、仕事ははかどらなかった。
光秀さんの怖い面を知らされた今も、『きっとそれだけじゃないはず』と思っている自分がいる。
(抱きしめてくれた手は優しかったし…あの時…)
あの時、一瞬浮かべた悲しげに見えた表情(かお)が忘れられない
そこに、あの人の本質が隠されていそうで。
光秀さんはまるで、立入禁止の底なし沼みたいだ。
近づけば危険だと誰もが警告する。帰ってこられなかった人もいるらしい。それでも、知りたくなってしまう–––