第5章 無限列車
部屋に入ると、待ち構えていたように体を起こす耀哉がいた。
寝てろって言ったのに。
内心毒づきながら半目で睨むと、穏やかな笑みを返されたので、言っても無駄だと諦めて、目の前に座る。
耀「芳華、炭治郎たちは向かったかい?」
『えぇ、さっき見送ったところ。私もこれで一度家に寄ったら向かうわ』
耀「頼んだよ。可愛い剣士(コドモ)たちを失いたくないからね」
『はいはい。あっちは私がちゃんと守るから、こっちはちゃんと寝ててね!帰ってきてぶっ倒れてたら許さないから!そんなことになったら、これから先、簀巻きにして部屋から出さないからね!わかった!?』
耀「あぁ、わかったよ。簀巻きにされるのは困るから大人しくしているよ」
『あまねさんに監視させるから。じゃあ』
耀「頼んだよ」
後ろ手に手を振り、部屋から出ると、あまねさんにさっきの会話を〝しっかり〟伝えて家に向かった。
「おかえりなさい、芳華さん。ご飯、用意できてますよ」
迎えてくれたのは、うちの住み込みのお手伝いさんの佳恵子さん。
旦那さんと娘さんを鬼に殺され、襲われていたところを助けたのが縁で、それ以来、我が家のお手伝いさんとして、任務中に娘たちの面倒を見てくれたり、家事をしてくれている。母親のような存在の人で、無茶して帰ると正座させられて、めちゃめちゃこわい笑顔で怒られる。ある意味、鬼より怖い。
『ただいま、佳恵子さん。申し訳ないけど、任務ですぐ出るから、ご飯はいいや。せっかく作ってくれたのにごめんなさい』
佳「大丈夫ですよ。すぐにお弁当をご用意しますね」
『うん、ありがとう』
靴を脱いで、居間に向かうと、そっくりな顔をした可愛らしい女の子が二人で仲良く、ご飯を食べていた。
「あ、お母さん!!おかえり!!」
「おかえりなさい、お母さん」
『ただいま、珠希、真望~!!私の可愛い娘たち~!!ほんとに可愛い!!』
後ろから二人をギューッと抱きしめると、嬉しそうにキャッキャ言う二人。
あぁ、やっぱり可愛い。ほんとに可愛すぎる。まじ天使。なんでこんな可愛いの?あぁ~っ、可愛いっ!!