第11章 お前にキスがしたくなった件について。
「……さぁな。…ちっとこのまま寝ようぜ。
もういいだろ。1、2時間なら誰も起きねェよ。」
俺は明確な答えは渡せなかった。
問い詰めるなと今更ながらにそう思った。
そしたらもうと2人でする
テストを使った小さな楽しい意地の張り合いが
もう出来なくなるなんて思ったから。
「………はい。」
やたらと声が耳に残るのも
特別だったから。そんな理由なのかもしれない。
おおよそもう先生と生徒では居られない。
それでもその関係も手放しがたいと思うくらい
本当に色々あったから単純に大切にしたい
なんて頭を撫でながらそう思った。
「ほら、狭ェから腕貸してやる。」
の声はやたらと耳に残るが
何も全部の声がそうって訳じゃない。
聞いた事のない声だけがやたら耳に残るんだ。
さっきの短い2文字の声は妙に寂しげで
それを初めて聞いた俺はそれを何とかしようと
柄にもなく腕なんて差し出してしまった。