第11章 お前にキスがしたくなった件について。
「…悪ぃ”コッチ”も抑え効かねェ…。」
またこんな格好の付かない敗北宣言をした
俺は本当に情けないと思うが
言い訳が下手なが可愛いのが悪い
なんて無理矢理にこじつけて反応を見る。
俺の言葉に戸惑ったんだろう
が抵抗をしないのをいい事に
結局俺は触れるだけの口付けをした。
「(……駄目だな、もう完璧に俺の負けだ。)」
それはまるでずっと知っていたかのように
しっくり来くる感覚で妙な甘さまで感じて
もう自分はコイツに落ちたんだと
ハッキリ自覚してまた何度目かの負けを
酷くすんなりと受け入れてしまった。