第2章 俺の弟がモーゼじゃ無くなった件について
□俺の弟がモーゼじゃなくなった件について
「うわぁ、ちゃん効果凄いなぁ。」
「良かったな!!あの一件で
玄弥が優しいって分かったみたいだ!!」
玄弥の席の周りにはちょっした人集り。
の騒動の1件で”玄弥が優しい”と
知った皆はわらわらと集まってきて
口々に避けていた事を謝りながら
ソレをネタに玄弥に話しかけていた。
「ん、あぁ。大丈夫だ気にしてないから。」
本人はそれを当たり障りなく返事をしながら
チラッ。との方に目を向けた。
1人でカリカリと
授業の予習をしながらにこにこと微笑んでいる
は、本当に”いつも通りだ”。
「(何でには寄ってかないんだ?)」
そんな疑問を抱きながら
わいわいと煩い自分の周りに少しだけ
居心地の悪さを感じながら次の授業のは
そう言えば”数学”だったと
あんな立ち回りをさせられた兄を思い出す。
「(……気まずいだろうな兄ちゃん。)」
そんな事を思いながらも微笑む玄弥は
囲まれた人で見えず、気づいていないのだろう。
自分が心配している兄は今、
コソッと教室の入口から自分の姿を見ながら
何やら満足気に微笑んでいるということを。