第1章 完熟トマトとヒヨコ豆の光秀煮込み 北風と太陽仕立て
「──目を離すなよ?」
そのひと言で、逃げ場を失った私の視線がそこへ縫い留められてしまうのは…
知ってしまったから。
恥ずかしいのがキモチイイことを。
それがより大きな快楽を生むということを。
そしてようやく気付く。
光秀さんがここまで私を辱(はずかし)めて追い詰めるのは…
着物も帯も剥ぎ取られて尚、私が纏う羞恥と理性を剥ぎ取るためなのだと。
決して強いることなく、羞恥と紙一重の快楽に溺れ理性を欠いた私が自ら強請(ねだ)るように。
視線の先で くちゃあ と開いたそこから真っ赤な果肉が覗く。
余韻でまだヒクヒクと震える豆粒を態と避け、ざらりとした舌がその周りをねっとりと這う生殺しの快楽に身体が疼いて心臓は急かすように鼓動を烈(はげ)しく打つ。
生煮えの身体の奥からはフツフツと小さな泡(あぶく)が弾け出し、それは少しずつ大きくなってグツグツと煮立ち、やがてグラグラと沸騰し始める。
「…はぁ…はぁ……も…許し、て……」
言ったところで、今更光秀さんが捕らえた獲物を逃がすはずもなく…
加熱が止まらないカラダから、いよいよ吹き零れ出した淫水が菊門まで濡らすのを感じたその瞬間──
「ふゃあぁ…」
ナカへと侵入してきた異物に、私は情けない声を上げた。
真っ赤な果肉のナカに赤い舌がずぶずぶと埋まっていく様を見せつけられ失神寸前な私の最後の抵抗を嘲笑うように、それがうねうねと動いて快楽を誘う。
けれど、細く柔らかな生温(なまぬる)いそれでは到底このカラダは満たせなくて…
今そこに欲しいのは…
太く硬く熱い──彼の其(それ)。
想像してしまえば、茹で上がったカラダは火を噴いたように熱くて…
そこへトドメの流し目をくらったなら最期。
私は羞恥や理性なんてものをとっとと脱ぎ捨ててた。
そうして、身も心も丸裸にされた私は強請る。
──あなたの其で私の此処を犯してください──
そんな破廉恥な言葉で──
終。