第4章 愛しけりゃこそ強とと打て
ぽかぽか陽気のある日の昼下がり──
安土城で働く女中さんから依頼を受けていた着物が出来上がって、それを依頼主のお部屋に届けに行った帰り…
お城の廊下を歩いていると、見知った青い着物を見つけた。
(あ、政宗だ……何してるんだろう?)
政宗は廊下に胡坐をかいて座り、後ろ手をついて空を見上げていた。
その視線の先を辿ってみても、晴れ渡る気持ちのいい青空があるだけで、他には何もない。
気になって、傍まで行きその背中に声をかけた。
「政宗、何してるの?」
「……ああ、〇〇か」
私を仰ぎ見て、政宗がにっと笑う。
「暇つぶしだ」
「暇つぶし?」
政宗らしくない言葉に思わず聞き返した。
「昨日、脱走した照月を追いかけてたら、石に蹴躓(けつまず)いて足を挫いてな…」
「えっ!?」
見ると、政宗の足首には包帯が巻かれていた。
「大したことはないんだが、家臣の奴らが大人しくしてろって、あれこれ仕事を代替するから、暇でな。御殿に戻ると奴らがうるさいから、ここで暇つぶしってわけだ」
それを聞いて、政宗を心配して奔走する家臣のひとたちが目に浮かび、挫いた足のことは心配しつつも、その光景を微笑ましく思ってしまう。
「そっか…お大事にね」
そう言うと、政宗は返事がてら大あくびをして、ぐうっと腕を伸ばし背伸びをする。
「……さてと。そろそろ帰らないとあいつらが何処行ったと騒ぐ頃だ……悪いが〇〇、手を貸してくれるか?支えがないと立てない」
「あ、うん。どうぞ…」
差し出された政宗の手を取り、引き上げるように腕に力を入れた瞬間──