第3章 カガミ+カレシ
「か、火神っ、別に全部じゃなくてもいいんだよっ!?重いでしょ…、」
「いいんだよ、俺が持つ」
「いや、マジでいいって!ほら、半分かして、」
「しつけーな!」
俺は片手でダンボールを持ちながら上手くバランスをとると、伸びてきたリマの手をもう片方の手で掴む。
「…俺が持ちてえから、いんだよ」
掴んだ衝動で俺たちの身体は一気に近づき、リマはその距離に少し目を見開く。
そして決して作為的にではないが、耳元で囁くハメになってしまった。
だあああーー〜!!!!!
やべえ!
俺、絶対今顔赤え!
ぱっ、と手を離すと俺は振り返らずにダンボールをきちんともちなおし、廊下を歩く。
「…………」
「…………」
お互いの気まずい空気が昼休みの生徒の騒ついた声で掻き消される。