第3章 カガミ+カレシ
目的地の用具室につくと、俺は一旦荷物を床におき、扉を開ける。
ガララ、という無機質な音が誰もいない静かな廊下に響いた。
ちらりと後ろを振りかえるとリマはうつむいて俺からは表情が見えない。
………気まずいな……
段ボールを持ち直し、用具室に足を踏み入れようとしたとき、俺はすんでのところで立ち止まり、目を見開いた。
うつ向いて、顔は見えないであるけど耳が、紅い。
すいたら指通りが良さそうな漆黒のロングヘアはその真っ赤に染まった耳を隠すのには足りなかった。
……な、んで……?
まさか、さっきので……。
ふとあげられた顔は、こちらも同様、紅に染め上げられていて、瞳はうるんでいた。
それを見た瞬間、俺の中で何かが崩壊した。
「…えっ、かが、」
俺はその場に段ボールを落とすと、驚くリマの腕を掴み、室内に引きこんだ。