【歌い手】貴方を愛したこと。【After the Rain】
第2章 プロローグ
「ねえ、俺さ、美織のことずっとずっと愛してるからね?」
白い髪の彼はその綺麗な声で私に囁きかける。
『うん、私も大好きだよ、まふくん。』
そんな私の吐いた偽りの甘ったるい愛の言葉を、今日も彼は噛み締めてへにゃ、と笑う。
「うん、ずっとずっとずっと、一緒だからね?」
そんな天使のような笑顔を裏切ってしまった私は、きっと悪魔なんだろう。
「ねえ、早く俺のものになってよ。」
蒼い彼は気だるそうに言う。
『なんで?まふくんに絶交されちゃうよ?』
「美織を手にいれられるなら別にいいけど」
『ふふ、じゃあそうなっちゃったら二人でどこまででも逃げようか』
これは、そんな、意地汚い性悪女のお話だ。