第26章 ラウンジにて(2)
夢主出ません。
今思えば、寝不足で少し口が滑った。
「スミくんは、嫉妬しないの?」
「嫉妬?」
夜間防衛任務開けの早朝のラウンジ。たまたま同じく任務開けの王子しかいなかったので、同じテーブルに向かい合って座った。
「葉瑠さんは大学生でエンジニア。スミくんとはコミュニティが違うじゃないか」
確かに、葉瑠はエンジニアで、特に寺島さんとは上司と部下だし、元アタッカー仲間だし、よく話している。更に同い年の諏訪さんや風間さん、木崎さんとも仲が良く、みんなで飲みに行く話もよく聞く。でも、嫉妬はしないな。俺自身、誰とでも話すけど、そこと恋人との線引きはできている。葉瑠も同じだろう。だって、二人きりのときのあの蕩けた顔は俺にしか見せないからね。なんて考えたら、早く会って触れたくなった。そんなこと、わざわざ王子には言わないけど。
「別に」
「余裕だね。順調なんだ?」
じゃあスミくん、ちょっと想像して答えてほしいんだ。この前、クラスの女子たちが話してるのを聞いて、ちょっと面白い話題だと思ってね。せっかくだから、彼女がいる知り合いには聞いてるんだ。そう前置きをして王子が言った。
「もし、彼女が浮気してたら、どうする?」
正直、葉瑠は浮気なんて器用なことはできないだろう、と思った。俺を好きじゃなくなったり、他に好きな人ができたら、すぐ態度に出るだろう。そう思ったが、想像はしてみる。浮気……
「浮気相手を潰す」
「あー、そっちからか。目が怖いよスミくん。例えばの話だからね」
彼女を閉じ込めて監禁できればいいけど、現実的じゃないんだよな。
「スミくん、それ君のことだから、その実現性を既に考えたことがあるだろう?」
おっと、知らずに口に出ていたらしい。
「そんなことないよ。言ってみただけ」
「またまた」
「そんな王子こそ、そういうことひと通り考えんだろ?」
「いやいや」
二人でいい顔で笑いあうのだった。
そんなとある早朝のお話。